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気付く事は絵を描くための上達法 [水彩画]

ここは飛騨川の下流で、あと少し下ると木曽川と合流する。

水を満々と湛えて流れは殆ど見られない。
というのも、ここはダム湖とも言うべき川で木曾川と合流する少し手前にあるダムで
堰き止められていて、表面的には池のように静かな水面を保っている。
この川は、昔々、地割れした場所に水が流れるようになったような感が強い川で
場所によっては、絶壁ともいえるほど岩がむき出てV字型に切り立っていたり、
水面までの距離がかなりあったりして恐怖すら感じる場所もある。

その川は、ダムで堰き止められた場所から上流約5キロほどは川幅がかなり広いので
ボート競技などによく利用されているようだ。

このピンクの橋から下流の橋までが遊歩道として一周できるように整備されているが
私の出向いた時には誰一人として歩いている人はいなかった。

これだけ大きな川でも表面的な流れはないので、せせらぎの音とか鳥の声すらない静かな所。
そんな中、川に突き出して作られた屋根付きの場所があったので、そこで私は絵を描く。
まったく人影のない中、黙々と描く。

しばらく描き始めて、おや?と気が付いた事がある。
山とか建物とかは動くことはないが川面に映ったピンクの橋の姿が刻々と変化するのだ。

風がまったくない時には橋がそのままの形と色で映りこんでいたかと思うと、
静かな風と同時に、川面が漣だって動き移動する。
川面は規則正しく、左から右へ手前から向こうへとドミノ倒しのように動き白く光っては消えていく。
それにつれて、あれほどはっきり映っていた橋がかき消えて、ピンク色さえもどこにもない。

映ったり、揺れたり、流れたり、消えたり、走ったり・・・
風の強さや向きによって変化する川面の漣と橋と、ピンク色が織り成す陽炎のごとき瞬間のドラマ。
しばし我を忘れて絵を描く手が止まる。

静かな川面に突き出た屋根つきのここは何故かステンレスの椅子が数個設置されていて、
あたかも、今日のこのドラマを鑑賞するだろう私のために特別用意された演舞劇場なのかも?
どこのどなたかはしらないが、いきな計らいをする人もいるものだ。

絵を描く楽しみは対象を写すばかりではなく、時としてそこにある森羅万象に気付ける事。
普段見えない、見ようともしない小さな事に気づく事。
絵を描くためには気付く事がとても大切と私は思うし、上達の近道のような気がする。

今日のスケッチブックは外用に少し小さい4号サイズ。
この川幅の広いところには小さすぎたかもしれないが、とりあえず両面使って描く。
もっと川幅を見せたほうが広がりが出ていいのだが、水ばかり描くのも大変とこれで我慢。

この絵はダム湖の一番下流にある発電所のゲート前風景。
遠くには発電所の鉄塔が林立して向こうはダムになっている。
ここは魚釣りを楽しむ人も多い、小さな川が流れ込む少し浅い水辺。

向こうにはホテルなのか、シャレたとんがり屋根の建物があって不思議なたたずまいを見せていた。

作品の詳細は穂ダリサイドバーに記載のホームページでご覧いただけます。
お問い合わせはホームページ内のメールもご利用いただけます。

 

 


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コメント 5

とってもカラフルな絵とモノクロームの絵、対照的な感じですが
どちらも部屋に飾りたいような絵ですね。
見ようとしなければ、ただ通り過ぎてしまうだけなんですね。
今回は真面目バージョンでしたね。
by (2007-10-26 22:34) 

田吾作

モノクロの鉛筆画もなかなか良いものですね!
描いていてそう思い、色をつけませんでした。
私としても今回、真面目も絵に描いてまいましたね!!
by 田吾作 (2007-10-27 01:46) 

むらさき

時としてそこにある森羅万象に気付ける事。
含蓄のあるお言葉^^
アートな感覚が欠落している私にも、とっても
響きました。(^。^)y-.。o○
by むらさき (2007-10-27 19:50) 

このスケッチに色を付けるんですね。
楽しみです。
by (2007-10-28 15:55) 

田吾作

むらさきさんこんにちわ!
含蓄とは昔の蓄音機ですか?
竹針のレコードを思い出してしまいました。
これが本当のちくおん機?(失礼しました)

風子さんこんにちわ!
水彩画は鉛筆で輪郭を取らない描き方もあるのですが
私はこのように描いてから色をつけます。
色つけを楽しみにされると困っちゃうわ♪のリンダです。
by 田吾作 (2007-10-28 17:39) 

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