黒石に絵を描く技法としては、装飾的金彩銀彩が豪華絢爛。 [石絵]
黒い石に絵を描く時、はたと困ってしまうことがある。
このように真っ黒な石だと絵の具が黒になじんでしまって
メリハリのない作品になってしまって面白くないからだ。
石に絵を描くとき、なるべく白い色の石を選びたい。
そして、なるべくごてごてしていなくて穴なども少ないもののほうが描きやすい。
しかし、天然物の石だから、いろいろ不都合があるのは当然と言えば当然。
その不都合を何とかごまかしながらも仕上げるところが石絵の醍醐味かもしれない。
描く前に石と向かい合って、どんな感じに仕上げようか考えるときは楽しい時間だが
なかなか思いつかないこともよくあって、苦しい時間でもある。
そこをなんとか通過して作品が完成したとき、何故か不思議さを感じることがある。
どんな不思議さを感じるかと言うと、
描く前まではそこらへんに転がっている何の変哲もないただの小石が
何かしらの人の手を加えると、まるで違ったものになってしまうことがあるからだ。
下の写真は初めて黒い石に挑戦してみたときの作品で、
その名も「波間を泳ぐ黒鯨のクロちゃん」
難しいと分かっている黒石に絵を描くことはいままで想定もしていなかったので、
ほんの冗談のつもりで描いてみたものなのだ。
石に絵を描いただけではなんともまとまりがないので、
写真のように木で台を作り波模様を描いて泳いでいる様子を演出するため
紙の手とクジラ風尻尾もつけてみた。
あまりにもたわいのない発想の幼稚な作品に仕上がってしまって
自分ながら反省しきりだが、物作りは最初の作品を踏み台にして
「一個作るたびに考え、また一個作るたびに工夫し」
やがてどこにもない素敵な作品に仕上がっていく過程を信じ楽しむことが
長続きすることでもあり自分磨きに繋がることと私は思いたい。
「創作」とはそういったのもなのではないのだろうか?
石絵をはじめとするユニークで独創的な作品はこちらからご覧いただけます。
「告井土暖の個人美術館」はこちらをクリックしてご入場ください。
コメント 0